Biography

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札幌交響楽団のファゴット奏者の父と天使病院の小児科で看護師をしていた母との間に生まる。
 歳の離れた姉はピアノとパイプオルガン、2人の兄はバイオリンとチェロを学んでいた。音楽をこよなく愛した父は、毎朝自分の秘蔵のレコードコレクションから一枚選んでは、子供達を起こすのが楽しみだった為、彼女が物心つく前から家庭には音楽に溢れていた。
 彼女がクラシックのヴァイオリニストやピアニストになるのは当然のことのように思われる環境だったが彼女自身、自分が音楽の道に進むとは夢にも思っていなかった。兄にくるみ割り人形の動画を見せてもらうとバレリーナになると言い、翌日にはやっぱり猫になると宣言するのであった。

3歳から姉が師事していた星出雅子氏、レッスンの友社の川村省三氏にピアノを師事し始めるも、彼女にとってソルフェージュやハノンは楽しいものではなかった。星出氏は反抗的で頑なな斗亜に辛抱強く指導してくれたが、彼女はもっぱらバレエ教室や絵画教室に行くのを好んだ。また姉の足元に座って彼女が弾くピアノに合わせて歌ったり、兄が練習していたコンチェルトを一音一音歌って驚かせるのが彼女は好きだった。

熱心なカトリック信者である母の影響で毎週のミサや日曜日学校で教会音楽や賛美歌に触れていた斗亜だったが、母の趣味であるフォークギターやそれに合わせて母が歌うのを聴くのが好きだった。アイルランド音楽との最初の出会いは、通っていた幼稚園(ミッションスクール)のバザーでアイルランド系アメリカ人の職員が演奏したコンサートだった。聴き慣れたクラシックとは違う素朴で人間味溢れる音楽に一瞬で虜になってしまった。
月日は流れ、音楽の英才教育を受けた姉兄達は結局のところ音楽の道に進まなかった為、母は勉強の好きだった斗亜を普通大学に行かせるも2年で中退。
単身アイルランドへと渡る。
ダブリンにあるウォルトン音楽院にて、ジョン・スウィーニーの元、伝統音楽コースを修了。後にシャンノースとイングリッシュバラッドをDeirdre Scanlan氏、Cathy Jordan氏に師事。
Manus McQuire氏、Patrick Manga氏にアイリッシュフィドルを師事。

帰国後、アイリッシュ・トラッド・バンドSEiREN(セイレーン)を結成し、2013年よりレコーディングやライブ活動を行う。 グッゲンハイムレーベルより『The First Rosebud』と『The New World』をリリースし、高い評価を得ている。 2019年よりソロとしても活動を開始、『Walking in the Éire – The Spirit of Christms -』をリリースする。自分のルーツである教会に敬意と愛を込めてアイルランドと縁深いクリスマスキャロルを選びレコーディングした。葉加瀬太郎氏からは、『斗亜の声は寒空を舞うオーロラの様だ』と評された。

最近では、クリスマスに贈られたアイリッシュテナーバンジョーに熱をあげ、その陽気な音色に愛猫のヴィンセントを走らせている。

22’Féile Tokyoコンペティション日本予選にてイングリッシュシンギング部門(18歳以上)1位、アイルランドの伝統音楽とダンスの国際大会「Fleadh Cheoil na hÉireann(フラー・ヒョール・ナ・ヘーレン)」に日本人女性として初めて出場した。

Toa Sypher

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